20100814

日本の”観音開き” と、フランスの”ダブルフレンチケースメント”

両開きのドアや窓。それが親子であったり、そうでなかったり。
そのような木サッシの断熱性、気密性はどうなんでしょうか。という問い合わせが時々あります。


観音開きの魅力はやはり、左右の障子を開いたときに感じられる、方立て、つっかえ棒がないダイナミックな開放性と、それでいて、閉時は二枚の窓に分割されることにより、窓やおうちのアクセントとしてのやさしいスケールを感じとることができる、ということにあるようです。なんだか ”ひかえめなうつくしさ” ”もののあわれ” という日本美の思想につながっているようにも思えます。

こんにちでも、フランスに訪れますと、両開きのいわゆる観音開きという形式の外部窓は、あちらこちらに見つけることができます。米国では、Double French Casement, フランス式両開き窓と呼ばれています。古典的なものは、施錠金物が無垢の框に現しで取り付けられていたりして、とても品格があります。


両開き窓やドアで一番気密が鈍いところは、窓同士が閉まったときに触れる召し合せ部分です。
歴史的には、フランス式両開き窓やドアの召し合せ部分は、凸凹にしたり、互い違いに重なり合わせることで、外気の進入を防いでいました。左右の窓を自らで重ね合わせて開閉することになります。

今日においては、HM木サッシで仕様とされているシリコン製の気密パーツがありますから、この凸凹、重ね合わせ部分にこの部材を施し、方立てのない開放的な開口部を、より安心して住宅づくりにとりいれることが可能になりました。


ところで、やはり理想としては、建築金物というものは、あまり内蔵、内蔵としないほうが、金物の魅力を引き出すこともできて、よいような気がします。現しの建築金物は、実利においても、気密パーツ材を端部から端部まで完全に打ち回せるという利点があります。見込み部分に金物を内蔵しますと、その部分の気密処理には、少し特別な措置が必要になります。
観音さまの窓についておもったこと。

HM木さっし